「トンイ」第5話では、トンイが妓女のソリの力を借りて宮廷に潜り込んだ部署である掌楽院(チャンアゴン)が登場します。
トンイをご覧になった方にはお分かりと思いますが掌楽院(チャンアゴン)とは、宮廷の催し毎で音楽を奏でる楽器や楽師を管理する部署のようです。
ちなみに、トンイの兄、トンジュが楽師として働いていた場所ですネ。
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朝鮮王朝における掌楽院(チャンアゴン)の位置付けと役割
由来
韓国歴史ドラマを見ていると、儀式や祭祀、外交使節をおもてなしする時には必ず音楽や舞踏のシーンが登場します。
掌楽院という部署は、高麗王朝(918年 - 1392年)に起源を発し、第9代成宗(1469-1494)の頃に、儀式、祭礼、外交使節など接待客の接待や宮中の宴などに必要な音楽を演奏する専門部署として設立されたと言われています。
所轄・組織
掌楽院(チャンアゴン)は、その性格上、儀礼や祭事、外交、教育などを管理した六曹の一つである「礼曹=イェージョ」の管轄下におかれ、長官が管理していました。掌楽院は伝統音楽を奏でる楽工(アクゴン)と楽生(アクセン)、音楽教育を担当するものに役割構成が分けられ楽師と伝統音楽を受け継いで教育する人々が数百人在籍していたと言われています。
現代では、1951年に国立国楽院が設立され、掌楽課と言う担当部署の管轄で古来の伝統が継承されています。
取扱う音楽
いわゆる雅楽を中心とした伝統音楽の演奏が主体で、祭礼などのケースには妓生の舞踊と組み合わせることもあったようです。(このシーン、チャングムの誓い、イ・サン、トンイなどのドラマの中で描かれる結婚式、誕生日のお祝いなどで盛んに登場します)
朝鮮王朝は儒教を国教としていましたが、儒教では、「礼楽思想」を重んじていたため、「楽=すなわち音楽」が「礼=すなわち儀式」の場で重要な役割を果たしていたという事です。
音変(ウムビョン)とは
音変(ウムビョン)の事を知るには、まず儒教の「礼楽思想」を知る必要があります。
礼楽思想では、「楽=すなわち音楽」が「礼=すなわち儀式」の場で重要な役割を為すとされており、国事運営の根幹をなす要素の一つとされていました。
李氏朝鮮王朝でも、儒教を国教としており、礼楽を司る国家機関として「掌楽院(チャンアゴン)」を設置するほど、この事を重要視していたのです。
ドラマでは、音変(ウムビョン)は、読んで字のごとく「音が変わる=音律が乱れる」ことを意味し、国が乱れ滅亡する兆しだとされていました。
ところで、儒教の文献「礼記」に含まれる「楽記」によると、音楽は「声音の道は政(まつりごと)と通ず」と説明されています。
国を亡ぼす音楽を「亡國之音」とよびますが、「音楽そのもの」が重要なのであり、単なる音律の乱れが国を亡ぼすと言う意味では無いようです。
参考:亡国の音:原文・書き下し文・意味 - Web漢文大系
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