韓国ドラマ『ソドンヨ=薯童謠』は、百済の王子ソドン(チャン、後の百済30代王・武王)と新羅の王女ソンファの純愛を描いた歴史ロマン。
この物語は、朝鮮に残る『薯童説話』に着想を得た作品です。
時代背景となった朝鮮の三国時代(4世紀ころから7世紀)は、高句麗・新羅・百済の三国が互いに激しく戦った時代でした。
従って、ソドンとソンファの恋は決して許されぬ恋だったのです。
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ドラマでは、二人が数々の苦難を乗り越えて晴れて王と王妃として結ばれることになりますが、最後はソンファの父・新羅王との長く続く戦の中で病に倒れたソンファが悲しい最後を遂げることになります。
史実では、唐と連合した新羅によって百済は西暦660年に滅亡することになっています。
百済の武王は西暦600〜641の在位と言いますから、ドラマ『ソドンヨ』は百済の末期頃の物語なのですネ。
(photo by:©SBS)
薯童謠=薯童説話とは
さて、先ほど挙げた『薯童説話』とはどんなものでしょうか?
『薯童説話』は古代の朝鮮各地に残る言い伝えや伝説の類を集めた『三国遺事』におさめられた説話です。
『三国遺事』は歴史書として説明されることもありますが、13世紀の高麗時代の高僧であった一然(イリョン)が編纂した私撰遺事集で、あくまで個人的に編纂されたものです。
説話の内容
薯童謠は、文字通りソドンにまつわる童歌(わらべうた)で、百済の第30代王である武王にまつわる説話。
ウィキペディアの説明を借りるとおおよそ以下の内容となっています。
善化公主主隠
他密只嫁良置古
薯童房乙
夜矣卯乙抱遺去如
つまり、「善花公主様は 密かに嫁入りされて薯童の住む家で夜に密会している」と言う意。
薯童とは、「芋掘りの少年」という意味で、武王チャンの幼名。
善化公主は新羅の真平王の娘でソンファ姫の事。
ソンファ姫の美しさに心を奪われたソドンは、姫の住む新羅の都へ向かい、この歌を子供たちに歌わせたと伝えられています。
この歌の噂は真平王の怒りを買い、そのせいでソンファ姫は新羅を追放されソドンの住む百済の都へ移り住むことに。
まんまと計画を思い通りに進めたソドンは姫の悲しみを慰め、自分の国へ連れていく事に成功するのです。
後に人心を掴んだソドンが王(武王)となり、ソンファはめでたく王妃となるのです。
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ソドンヨ(薯童謠)最終話のエピソードの由来
ある日、ソドンとソンファが外出した時、ある池のほとりで弥勒様が池から現れるという奇跡を目撃し、ソンファはここに寺を作りたいと願ったと言います。
これが、高麗の名刹・弥勒寺の起源であるとか。(史跡:現在の全羅北道益山市)
ドラマ『ソドンヨ』の最終回で、死期を迎えたソンファが「私がいなくなってもどうか泣かないで。そして、私が死んだらここに寺を建ててください」と言うシーンががありますが、この逸話をベースとしているようです。